
© Hyundai Motor Group / Unsplash
Boston Dynamicsの電動Atlas(2024年4月発表)が2026年、Hyundai Motor GroupのRobotics Metaplant Application Center(RMAC)に初投入された。2026年の全生産分はHyundaiとGoogle DeepMindで完売状態にある。Hyundaiは2026年のマルチ米国投資計画の中でAtlasを中心的な要素として位置付け、将来的に25,000台規模の工場展開を目指す。
2026年、Boston Dynamicsの電動Atlasは初の商用生産ロットを出荷した。しかし、その全台数が2顧客──親会社のHyundai Motor Groupと、AIパートナーのGoogle DeepMind──で占有されており、外部企業が今すぐ調達できる状態にはない。
Boston Dynamicsによれば、追加の顧客への提供は2027年以降になる見込みだ。現時点(2026年6月)でウェイティングリストへの登録を受け付けているかどうかは未確認(要確認)。
HyundaiはジョージアのMetaplant近くにRobotics Metaplant Application Center(RMAC)を設置し、Atlasの現場トレーニング・検証を行っている。RMACはロボットが実際の工場環境に近い条件で作業を学習するためのテストベッドとして機能する。工場ラインへの本格展開は2028年の見通しで、Hyundaiはグローバルの製造拠点に最大25,000台規模でAtlasを配備する計画を持つ。
2026年1月のCES発表でBoston Dynamicsはカルフォルニア州に本拠を置くGoogle DeepMindとのパートナーシップを発表し、DeepMindのGemini Robotics基盤モデルをAtlasの認知制御に統合することを明言した。言語理解→タスク計画→物理操作の三層を一貫した基盤モデルで処理する設計は、他社の「ルールベース制御+固定タスク」のアプローチとは根本的に異なる。
Hyundaiは2028年稼働を目標に、年産3万台体制のAtlas製造工場を建設中と報じられている。自動車製造ライン(月産数万台)と比較すると依然として桁が違うが、図はヒューマノイドが「試作品」から「製造業の製品ライン」に移行しつつあることを示す。
Hyundaiが先陣を切ってAtlasを工場に投入することは、競合する日本の自動車メーカー(トヨタ・Honda・日産等)がヒューマノイドのベンチマークとしてAtlasを評価せざるを得ない環境をつくる。「Hyundaiがどういう作業でどの程度の成果を出したか」という2028年以降のデータは、国内製造業のヒューマノイド評価の基準になる可能性が高い。現時点での日本企業のアクション項目は「情報収集とベンダーリスト整理」だ。
Hyundai Motor Groupは2026年5月19日、米ボストンでの投資家向け説明会で、Atlasを自社・Kia工場に2万5,000台超導入する中長期計画を明らかにした。Korea TimesとKorea Heraldの報道によると、稼働開始は2028年に米ジョージア州のMetaplant Americaから、Kiaジョージア工場は2029年からを予定する。同時に、ロボットの「筋肉」となるアクチュエーターについても年産35万台規模の米国内生産拠点を新設する計画を公表した。これは外部メーカーの機体を一定期間借りて検証するBMW・Mercedes-Benz型のパイロットとは異なり、Hyundai自身が部品供給網まで垂直統合しようとする動きだ。日本の部品メーカー・商社にとっては、完成機の調達機会だけでなく、減速機・センサーなど自社の強み分野がこの垂直統合にどこまで取り込まれるかを継続的に確認する価値がある。
一方で、現代自動車支部の韓国金属労組(KMWU)は2026年1月22日、労使協定なしにAtlasを工場へ導入することを認めないとの声明を出している。Tech Timesの報道によると、労組は人員削減や労働条件への影響を懸念し、導入規模・配置・雇用への影響について事前協議を要求している。2万5,000台という規模は、既存の生産工程の一部を置き換える前提でなければ説明しにくい数字であり、労使交渉の行方が実際の導入スケジュールを左右する可能性がある。日本企業が同等規模の内製導入を検討する場合も、技術検証と並行して労働組合・従業員への説明プロセスをいつ・どの粒度で行うかの準備が論点になる。
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